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【企業とジェンダー平等】企業が今、求められているもの

~ジェンダー問題もSDGSのゴールのひとつ。対策は万全ですか?

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企業のジェンダー問題のニュースが絶えません。森会長の発言が世界的な報道となった2021年、その後も企業のジェンダー問題の炎上は続き、今回は吉野家です。公の場である大学で起きた発言であり、著名なマーケターとして知られる人が何故そのようなことが起きたのでしょうか。今回は企業や個人でできる対策とは何か、について考えます。

 

【個人ができるジェンダー問題対策】

年代により異なるジェンダー感覚

まず大前提として挙げられるのが、ジェンダー問題への理解は年代によって大きく異なる。個人差はあるが、日本企業で経営者や役員が多い50代以降の年齢層は何が問題なのか、全く理解できないあるいは理解をしなくてもいいという人が、多くいる。

そのため、少しでもジェンダーに関する商品やサービスがあるとすべてを取り下げたり、対応に困り(言い方は良くないが)逃げに回ってしまうこともある。

せっかく商品のプロデュースを何か月もかけてきたのに、最終決定権のある役員陣の鶴の一声で白紙になってしまった例もある。このままではジェンダー平等は進まない。

一方で、著名である人が必ずしも人権や倫理問題に優れているとは限らない。年代の価値観の影響を受けるし、地位は関係ないどころか、むしろバイアスになる可能性がある。「地位がある人が間違った発言をするはずはない」や「地位がある人は社会的に守られるから他人から指摘されることがないだろう」などの思い込みである。

地位がある人に対して、「それジェンダーハラスメントですよ」「問題なので控えたほうがいいのでは」と指摘をする人がいないことがそもそも問題である。これからは平等社会。役職に関わらず、上司や友人にも相手のことを思いやって「その発言は問題ではないでしょうか」と言ってみること、言いやすい社会づくりが必要なのではないでしょうか。

 

【企業ができるジェンダー問題対策】

企業に求められるものの変化

ジェンダー平等への企業の取り組みを聞くと、女性管理職育成のための女性のみへの研修制度やLGBT研修を行っているため十分対策をしているという話をよく聞く。しかしジェンダー平等とは、男性の対になる言葉・商品がある、女性の対になる言葉・商品がある状態を指す。

つまり女性のみに研修を受けさせようという計らいが、女性だけがジェンダー平等に取り組むもの、女性だけが管理職に必要なスキル・能力が不足しているというバイアスを助長させる「差別」に当たりかねない。

昨今のニュースを見て、ジェンダー問題への理解は女性だけが向き合うものだとお考えだろうか。性に因らず誰もがもっと理解をし、真剣に対策を取るべき事項であることは言うまでもない。

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意思決定に必要なジェンダーバランス

吉野家のような不祥事を防ぐために、意思決定の場のジェンダーバランスを整え、バイアスを生みにくい組織を作る必要がある。

個人の素質や能力はもちろんだが、ジェンダー問題が発生しにくい組織のポイントは何だろうか。

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意思決定の場に女性がひとりでもいればいい、というものがある。しかしこれは割合の問題で、人数の問題ではない。この主張が通りやすくなる最低限必要な数字をマーケティング用語で「クリティカルマス」と言う。組織の中で主張が通りやすくなるためには、3割以上の女性が必要だ。

国連が企業の女性管理職を3割に増やそうと呼びかけたのには、ここに理由がある。

健全な議論をするのであれば、この3割という数字が達成されないと「健全」とは言い切れない。つまり、一見健全な議論が進んでいるようなメディアでも、もしかしたら編集者や会社によっては健全な議論が起きていないケースもある。

 

必要なのは議論ではなく、対策

よくメディアでジェンダー問題が語られる時、議論が必要だ。森会長の時も議論が進んだ、などでまとめられることが多い。しかし、世の中が前進するために議論はもちろん必要だが、同じことが繰り返されないための「策」が必要です。

人間は怠惰で、ルールがなければ守ろうとしない。学ばなければ変わらない。現にこれだけSDGs経営が普及しており、企業幹部はSDGsに理解がないわけではないだろう。問題が起きるということは社内教育が不十分であり、対策がなされていないことが証明されてしまったようなものだ。

いじめが起きるのであればいじめが起きないような倫理教育を、ジェンダー問題が多発するのであれば、ジェンダー平等への教育を企業が真剣に行う必要性がある。

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ライター:Shoma Tokuyama 慶応義塾大学4年生 倫理・哲学を専攻 

編集:一般社団法人パートナーシップ協会

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