企業の取り組みとしても注目を浴びているジェンダー平等・多様性。企業や行政、街中、ネットとあらゆるところでジェンダー平等や多様性に向けた取り組みが声高に叫ばれています。
しかし実は良かれと思って届けたメッセージも、伝え方ひとつで誤った印象を受け手に与えてしまったり、誤解を招くことがあります。なぜなら私達にはバイアスがあり、言葉をそのまま受け取るわけではないからです。
今回はジェンダー平等や多様性を誤解なく相手に伝えるための伝え方と誤りがちな表現についてお伝えをします。せっかくジェンダー平等や多様性に関して伝えたい、社会を良くしたいと考えている活動も、マイナスに働いてしまったら勿体ないですよね。簡単に取り入れられるものなので、ぜひ参考にしてみてください。
誤りがちな表現例
1.相手を弱者と特定しない
「女性を性被害から守ろう、女性管理職を増やそう」
これらは女性を性的弱者とみなすもの、男性は性的弱者ではないというバイアスを助長させてしまう恐れがあるものです。
確かに性被害に遭うのは女性が多いかもしれませんが、男性も被害者になることもあれば、女性が加害者になることもあります。
また、男性の自殺率は女性の2倍~3倍と言われていますが、そのための声掛けとして「男性はショックに弱いため自殺から守ろう!」というポスターを増やしてすべての人が快感に思うとは限らないかもしれません。
これは実際に社会問題のひとつで、マスキュリズムでは必要な論点ですが「守っているつもり」のメッセージが、「男性はショックに弱い」「男性はメンタルが弱くて格好悪い」という印象を抱き、それらが転じて「男性はいじめてもいい」などに繋がる恐れすらあります。
2.他人事ではなく自分事だと思わせる表現
女性管理職を増やそう!と言われたら女性ではない性の人は、自分事ではないと考えるかもしれません。ジェンダー平等が女性のためのもののように見えるのはそのためです。しかし実際はジェンダー平等とは、その名の通り男性も女性もその他の性の人もすべての性の人が対象となります。では、どのような表現をしたら、すべての性の人が当事者だと思うでしょうか。
「女性管理職を3割に増やそう」
よりも
「上場企業の9割の会社が、役員比率のジェンダーバランスが良い」
「イノベーション力の高い企業のほとんどはジェンダーバランスが良い」
と声を掛けたほうが、賢明です。
もし上場を目指している企業はジェンダーバランスを整えないとまずい、と危機感を持ち、男性も女性も慌てて取り組むかもしれません。
ちなみにこれらは事実であり、事実、GAFAは平等に向け一早く取り組んできました。WORKDESIGN(イリス・ボネット著)※によると、イノベーション力はジェンダー平等ではない会社よりジェンダー平等の会社のほうが6倍高いそうです。
世界に通用する企業が日本から輩出されないのは、もしかして日本のジェンダーバランスと問題があるかもしれません。
まとめ
ジェンダーに配慮している広告とは、多様なジェンダーの価値観に触れられており、どの性の人が見ても不快にならず、排他されていないことです。ジェンダー平等に向けて前向きな言葉を投げかけているつもりが、バイアスにより誤った印象を読者やサービス利用者に与えてしまっている可能性があります。これらは大人だけでなく、未来を担う子供にも影響を与えるものです。
まだまだポイントは沢山ございます。当協会HPでも随時ご紹介をしていきます。今後の配信をお楽しみに。