ジェンダーに関する話題についても、よく聞くようになりなんとなく対策をしなければいけない雰囲気はあるものの今までの知識では、何が問題なのかすらわからずに「なんとなく」という感じで対処してしまっている企業や、無視している組織が多くあります。こうした対応は、大きな被害を出した後に気づかされることもあり、逆に知識を付ければ企業としてのSNS運用をより効果的にしていく切り口にもなり得るでしょう。
今回は具体的な事例についても参考にしながらどうすればジェンダー問題に関するSNSでの炎上が防げるのか、なぜそれが起きるのかという事について紹介、考えていきたいと思います。
SNSはなぜ炎上するのか
まず、SNSと炎上がなぜ結び付けられるのかについて紹介します。ネットでの炎上は毎日のように発生していますが、SNSでは多くの場合非常に手軽かつ、炎上に加担している意識がほぼないような状態でできる拡散手段をユーザーは持っています。例えばTwitterならリツイートなどがあります。これによってだれでも情報が発信でき、爆発的な拡散可能性を持っていることになります。
企業炎上のパターンにも様々なものが存在しますが、大きく分けると二つに分けられるでしょう。
一つ目に個人のミスや、個人の発信に起因するもの。例えば、ある会社に所属していることが特定できるような状況の人間が不適切な発言を行うことや、会社とのトラブルを個人が発信することで炎上するパターンです。二つ目に、組織としての発信が原因で援助乗するパターン。例えば、企業として発信した広告が配慮に欠けたものとなっておりそれが原因で炎上してしまうパターンが考えられるでしょう。
SNSは特に広告としての効果や、企業イメージの向上にも効果的なツールとなっており社員に使用を禁止させるのも現実的ではない以上、炎上をしないような使い方と、企業として炎上しないような行動を心掛け、そのための知識をつけることが必要になるでしょう。
広告とジェンダー問題
ジェンダー問題の炎上について最も典型的であり、それと真っ向から向かい合う必要があるジャンルは広告です。企業として積極的に情報を発信し、多数の人間の目に晒すことを目的にしている広告では、ジェンダー関係の思想から炎上する確率が非常に高いのと同時にそれと向き合い力に変えていかなくてはいけません。
2019年イギリスでは、広告において「有害なジェンダーステレオタイプを加速させる広告」が禁止されました。例えば、男性がおむつ替えに失敗したり、女性の運転が下手だったりと、性別が原因で不適切に何かが苦手だとするような広告などが挙げられます。広告は少しずつ人々の思想や行動に影響を与えていきます。そうした中で有害なものを排除することを目的にした施策でした。
日本でも、数多くの広告がジェンダーに配慮を欠けるとして炎上や議論のテーマとして取り上げられてきました。広告を出す以上ジェンダーへの配慮は必須の要素となりつつあります。そういった中で、知識が無いからと言って無防備に広告を制作してしまうことは、致命的な結果をもたらすこともあります。
※過去の炎上事例一例
炎上対策について
ジェンダー問題に関するSNSでの企業対策として、まずは社内での教育によってジェンダーハラスメントをはじめとした不祥事を起こさないようにし、ジェンダーバイアスなどの知識を付けていく必要があるでしょう。
ただ抽象的な概念が多く、馴染みのない人からすると理解が難しい場合もあるので、ガイドラインを利用して具体的に禁止事項を定めることや、外部団体の研修等を利用することもおすすめです。
例えばジェンダーハラスメントは驚くほど、「どこからがハラスメントなのか」といった感覚がずれている場合もあります。甘く見ずに、従業員の全員が一定のラインを守れるような教育、研修が炎上対策として非常に重要です。
二つ目に、広告、広報での向き合い方を考えることです。積極的に外部の目に晒していく以上、ジェンダーに関してより深い知識が必要になっていきます。ジェンダーバイアスやジェンダー平等といった思想的な知識はもちろん、具体的にどのような広告が評価され、炎上しているのかという事について気を配る必要があります。例えば、最近ではさりげなく性的マイノリティを配置するような表現が評価される傾向にあると思います。
どちらにせよ、ジェンダーに関する思想的な知識に加え、具体的にどのようなケースが問題になるのかといった部分について抑えるのが重要だといえるでしょう。
なぜジェンダー問題は炎上しやすいのか
筆者が考えるジェンダー問題での炎上に関する難しさ、起こりやすさについて考察して終わりたいと思います。
ジェンダー問題が非常に炎上しやすい原因として、すべての人間に関係する問題だから というものが挙げられます。意識下、無意識下に関係なくすべての人間はジェンダーバイアスを抱え、ジェンダーに影響された社会構造の中で生きています。当然ジェンダーについて考え直す潮流の中で全員が影響を受けることになります。純粋に多くの人に影響がある話題ほど炎上しやすくなるのは間違いないでしょう。
また、この人数の多さは難しさにも直結します。ジェンダー問題に関心がある人の中でも様々な思想があるのに加え、知識がないひとも巻き込まれていくので、当然炎上には様々な知識レベルの人が関与していきます。そうした中で「ジェンダー問題自体」に対して嫌悪感を持ち、よくわからないけど否定されているような気がするといった不快感を覚える人も多いでしょう。
ジェンダーへの関心の有無にかかわらず、対策を考えざるを得ないジェンダー問題に対して最低限理解できるような教育や土壌を社会として育むことが、種々のジェンダー問題に対して最も効果的な解決方法に一つといえるはずです。
ライター:shoma tokuyama
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